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「事故や病気など、人生のあらゆるアクシデントへの備えは万全だ―」。はたしてそう断言できるだろうか。実は落とし穴は意外なところにある。その最たるものが「がん」だろう。
平成19年厚生労働省人口動態統計によれば、がん死亡率は30.4 % 。約3人に1人ががんで亡くなる計算だ。がんの発症リスクが高くなる50代では44.5%と、さらにその割合は高く、60代ではなお数値は上がる。
「がんは交通事故よりもはるかに高い確率で遭遇する最もポピュラーな病気、人生を一変させてしまうほどのものだという認識を持っている人でも、備えを疎かにしがちです」
「がんは交通事故よりもはるかに高い確率で遭遇する最もポピュラーな病気、人生を一変させてしまうほどのものだという認識を持っている人でも、備えを疎かにしがちです」そう語るのは、がん治療の最新事情に詳しいファイナンシャル・プランナーの石井亘氏(スター・コンサルティング代表取締役)だ。
そこで石井氏は「ただなんとなく」加入しているがん保険の見直しを訴える。
「がんを宣告された患者さんが他の治療法の存在を知る機会もなく、たまたま主治医となった医師の治療方針にもとづき、標準治療を受けてしまうケースは少なくありません。
もしそれより効果的かつ短期間で済む治療法があればそちらを選択するはずです。
実際、より体にダメージの少ない低侵襲治療が主流となりつつあります。たとえば、前立腺がんに対して有効とされる開腹手術を伴わない粒子線治療や、副作用が少ない免疫療法などは一例に過ぎず、実はさまざまな選択肢が存在するのです」(石井氏)
こで問題になるのは医療費だ。これらの最新治療は健康保険の適用外となる自由診療のケースが多く、そのコストは優に数百万円を超えることもある。がん 治療にはその他にも差額ベッド代などの入院雑費や通院費が必要になるし、 自営業者や開業医、弁護士など資格業の人なら入院期間中の就業収入が失わ れることになる。がんが再発し治療が長期化すれば費用はさらに増大するはずだ。
それらの費用を民間の保険で補完できれ ばいいが、一般に利用されているがん保 険の多くは医療環境の変化に対応してい るとは言えないのが現状だ。
「現在主流のがん保険は、入院してはじめて1日1万円といった、給付金が受けられるタイプのものです。こうしたタイプの保険は、入院期間が短くなればなるほど給付金は少なくなる。しかし昨今、病院経営の効率化や治療法の進歩によって入院日数は短期化する傾向にあります。たとえばかつて1カ月半の入院が必要だった乳がん治療も今や2週間程度で済むようです。自由診療をカバーし、かつ診断された時点で200万円や300万円といったまとまった給付金がもらえるタイプのものに加入しておけば、入院を伴わない最新の低侵襲治療や高額な自由診療を選択する余地があります」(石井氏)
がんへの備えは莫大な医療費の確保、知識の蓄えも欠かせない。とはいえ一般の人がインタ ーネットをはじめ膨大な情報から自分のニーズ に合うものを取捨選択するのは困難だろう。 病院の選択にも同じことが言えよう。
そこで医療サポートサービス、たとえばがん治療 に定評のある医療機関の紹介やセカンドオピニ オンサービスなど、最良の選択ができるようアド バイス&サポートしてくれるサービスを利用する のはどうだろう。定期的に検診を受け早期発見 に努め、金銭的な備えと情報収集をしておく。 そうすればより自由度の高いがん治療が可能に なる。これではじめてがんへの備えは万全だと言えるのだ。
年代別のがん死亡者数と死亡率
(平成19年厚生労働省人口動態統計より)
年代
がん死亡者数
がん死亡率
全体
336.468
30.40%
30歳代
2.577
19.60%
40歳代
7.750
30.90%
50歳代
33.141
44.50%
60歳代
65.870
47.50%
70歳代
109.998
39.70%
80歳代
90.659
25.00%
健康保険自己負担割合の拡大
国民医療費の削減による健康保険制度の改正により、現在の3割から今後さらに自己負担率は拡大していく可能性もある
健康保険外治療の増加
最新の治療や未承認の抗がん剤や分子標的薬、抗体医薬品が増える。
病室の個室化
病院経営の効率化、患者のプライバシーの確保のため個室化がすすみ、差額ベッド代の負担は避けられなくなる。
ボーダレス化
重点的に力を入れている治療が各病院によって違うため、望む治療を受けるには居住地以外の病院を利用する可能性が高くなる。
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